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人生を全て捨て効果発動☆
19話あげました。これで次回からようやくこいし戦です。
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フランドール・スカーレットVS古明地こいし 11 黄金の華の秘密-Subterranean Rose- ①
黄金の華の秘密-Subterranean Rose- ①

 「お姉さま… どうして私をこんな暗い場所に閉じ込めるの?」

 地下牢でフランドールの声が一人木霊する。
 泣いているの? 泣いているの?
 誰の声か分からなかったが、フランドールに誰かが語りかけてくる。

 「貴方はだぁれ?」

 声のする方向に語りかける。

 「こんにちわ」

 彼女には3つの目があった。2つは顔に。もう1つは右胸に、大きな目玉がぎょろりと。

 「ねぇどうして泣いているの?」
 「あのね、あのね…」

 胸の瞳が牢越しにフランドールを見つめる。言いかけて、フランドールの口を人差し指で塞いだ。

 「言わなくても大丈夫。…わかった。
  貴方、お姉ちゃんに嫌われちゃったのね?」
 「あれ、私喋ってないのにどうして分かったの?」
 「…私はね、覚っていってね。心を読むことが出来る妖怪なの」
 「へー! すっごいねー!
  私の考えてることなんでも分かるんだー!」

 その妖怪はフランドールの心を読む。
 そして今までに出会ったことの無い、裏表嘘偽りがその言葉に含まれて居ないことを知って少し…驚いた。
 今までに出会った者は誰しもが気味悪がり去って言った。善人ぶって近づく者ほど心は汚く、そのことを私が口にすると鬼の形相で私達のことを死ねと言う。
 そんな汚い心を知っているからこそこいしは彼女に興味を示した。

 「ありがとう、この力をすごいなんて言ってくれたの貴方が初めてよ」
 「あーあ、私もさとりのような能力の方がよかったなぁ」
 「あ、さとりっていうのはね、お姉ちゃんの名前なんだ。
  私の名前はこいし。古明地こいしっていうの」
 「こいしって言うんだ。
  私はね、フランドール。フランドール・スカーレット。長いからフランでいいよ」
 「フラン…」
 「そっかぁ…こいしにもお姉さまがいるのね。
  きっと私のお姉さまと違って優しいんだろうなぁ」
 「うん! お姉ちゃんとっても優しいんだ。
  でも、優しすぎてね。周りの皆から嫌われちゃうんだ」
 「…? どうして?」

 第三の目をまるで忌々しい者のように指差し

 「これのせいよ。心が読める能力ってとても気味が悪くて誰も近寄らないんだって」
 「えー! そんなことないよー。
  とってもすごいと私は思うけどなぁ」
 「そう言ってくれるのはフランだけよ~」
 「フフフ、でもそう思えるのも…ありとあらゆるものを壊すことができるこのくだらない能力があるからかな…」

 フランドールが視る世界は壊れた景色。物には必ず壊れやすい目がある。それはどんなものにでもあり、その目を掌で握りつぶすとその物が壊れ往く。
 目の前に居るこいしにも例外なくそれがあった。

 「ねぇこいし。
  …試してみる?」

 目視するとこいしの破壊の目が浮かび上がる。
 悪戯にやっているわけではない。その殺気はこいしにも感じられた。
 
 「……」

 ふいに、こいしの破壊の目が消えた。
 意識を戻すと牢の向かい側にあったこいしの姿が消えていた。

 「あれ? 逃げちゃった…?
  おーい…?……」

 返事は無い。
 ああ、この狂った能力(ちから)を見てまた一人、私の元から去って行ってしまった。でもそれでいい。これで私はまた壊さずに済んだのだから。
 嗚呼、久々にお喋りしたなぁ。他人とお話したのは何時以来だろう。ちょっとの時間だったけど楽しかったな…。
 次に此処に誰かが来るのは何時になるのかな…。

 「やぁ、久しぶり」

 と、唐突にその声はフランドールの後ろ。牢屋の中から響いた。

 「こい…し?」
 「私が逃げたって思ってたでしょ?」
 「う…うん。で、でもどうして?
  私は今、貴方を本気で壊そうとしたのよ?」
 「あはは、まさか?
  フラン、貴方ってとても澄んだ心の持ち主ね。
  皆は貴方を嫌うかもしれないけど、私はね」

 こいしは無警戒のフランドールに近寄ると

 「そんなフランが、好きだよ?」
 「え…」

 その柔らかな唇に自分の唇を重ねた。



furankiss2.jpg



 「ん……っ」

 淡い沈黙の時間が流れる。…唇と唇を合わせる軽い接吻。
 ドキドキと心臓の音がお互いに伝わっていた。
 ………。
 どれくらいの時間が経ったろう。こいしが唇を離すと、フランドールは頬を赤らめた。

 「今日はこれでお終い。私ね、地上におつかいを頼まれて来たんだ。
  偶々ここに迷い込んだけど、フランみたいな人と出会えてよかったわ」

 すっ、と再び姿を消すと次はこいしは牢の外に居た。

 「ねぇ、私と一緒に来ない?
  きっとお姉ちゃんもフランのこと気に入ると思うわ。
  こんな暗い場所から抜け出してさ!」

 心が揺らぐ。
 誰にも必要とされていなかった私が、此処以外に居場所なんて無かった私が…今初めて誘いを受けている。
 この誘いは、数百年間此処に閉じ込められていた私に対する神さまからのご褒美なんだ。
 神が悪魔に禁断の果実を差し入れしようとしている。

 「えへへ…ごめんなさい」

 だけど、フランドールはそれを断る以外になかった。

 「“私にはお姉さまがいる。きっと私が居なくなったらお姉さまは寂しい思いをする”
  フランも私と同じでお姉ちゃん思いなんだね」

 心を読み上げると、こいしは残念そうな顔を帽子で覆い隠した。
 フランドールはレミリアという姉を持っている。彼女はそのレミリアが大好きだ。だけどその姉が此処に迎えに来ることがないことをフランドールは知って
いたのだ。
 その心も読んでこいしは悔しそうに奥歯を噛み締めた。

 「こいしっ! ぜーったい…また来てね。
  こいしは私の初めての友達なんだからいつでも歓迎するわ。ふふ、こんな薄暗い場所だけどね」
 「うんっ! 約束するわ。
  私にとってもフランは初めてのお友達なんだから。
  家に帰ったらお姉ちゃんに今日のことお話して、今度はおねえちゃんと2人で迎えに来るね。
  そのときは…」

 家族になってほしいな、と言いかけたがフランドールの姉に対する思いを考えるとそれ以上の言葉はでてこなかった。

 「そのときは、みんなで外に遊びに行こう!」
 「うん!! 必ず、約束だよ?」
 「約束するわ」

 そう言うと、こいしは第三の目を閉じた。
 再び地下牢は沈黙に閉ざされる。
 まるで最初からフランドール1人の芝居だったかのような錯覚に自分で陥ったが、唇に残ったかすかな温かみがそれを現実のものだと証明していた。


※※※


 …彼女の姿はそれを最後に見ることはなく、フランドールもそのことをすっかりと忘れてしまっていた。
 フランドールがその事を忘れてしまっていても不思議ではない。なにせあれはもう120年も前の話だからだ。そうだ、記憶は60年で廻りに回る。
 120年も昔の約束などはお互いに憶えているはずがない。きっと思い出すこともこの先無いだろう。…そう、奇跡でも起らない限り。
 しかし、この幻想郷では奇跡は度々起る。
 あのときの一期一会がもう一度起るなんてことは日常茶飯事。…なんて幻想郷は狭いのだろう。

 「(…ああ、こいしって…あのときの)」

 意識が消えそうな中で…それを思い出したのは、フランドールの方だった。
 フランドールの内に流し込まれた恋の埋火の魔力が彼女の魔力と共鳴し、意識薄れる中でそのことを思い出させていた。

 「(そっか…。約束したもんね…。
   みんなでお外に遊びに行こう…か)」

 あの約束、どうやら守れそうに無いなぁ。
 最後にもう1つ気にかかったのは自分が死んだらお姉さまは泣いてくれるだろうかということだった。


続く。


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