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人生を全て捨て効果発動☆
19話あげました。これで次回からようやくこいし戦です。
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フランドール・スカーレットVS古明地こいし 10 閉じた恋の瞳 ③
閉じた恋の瞳 ③

 大地を砕く流星の弾幕がコピーフランの数十メートルはあるかと思われる七色の翼のあちこちから流れる。
 1つ落ちる度に大地が悲鳴をあげる。こいしが解体したもう片方のコピーフランはすぐに肉体を繋げなおし蘇生し始める。

 「アハ、アハハ。また殺されちゃった♪」

 魔力の消費が激しいのから治りが悪いのか、それとも他に理由があるからなのかはこいしには分からなかったが先程よりも大分再生が遅くなっている事は見
てとれた。

 「(消耗はしてるみたいね)」

 こいしにコピーフランの空からの大雑把な攻撃は基本的には当たらない。
 当たらないが、先にあいつを始末しないと面倒だなと判断する。
 そして、これ以上被害を拡大させるとこの近隣で起っていることを他の者に気付かせない為のスペルカード、スーパーエゴが壊されてしまう。
 そうなるとまずいとこいしは思った。さすがに旧都に居る鬼達を敵に回すのは厄介すぎると。
 スーパーエゴはフランドールがこいしに殴りかかった際に壊されたスペルだが、こいしはフランドールと楽しいお喋りをしているわずかな間に張り直しをしていた。
 スペルカードが1度スペルブレイクしてしまうとその場で破られた証として燃え尽きてしまう。
 すると連続使用はできずスペルカードの再生、スペルカードを作り直すところから再び始めなくてはならない。だが中には例外なものもある。今回こいしが
使ったスーパーエゴは極端に魔力消費が少ないスペルだった。故にスペルカードは壊されても燃え尽きず、4分の1程度カードの形を保ったまま生きていた。
 この場合ならまだ再発動できる。
 すぐに再発動できるパターンはいくつかあるが、大きく分けると2つに分けられる。
 1つは今のような状況を指し、同じようにスペル自体の発動時間(維持時間)が多く残っているのにもかかわらず破られた場合にも同じように使用できるこ
とが多い。
 もう1つは自分の持つ能力と、スペルの持つ能力が似通っている場合だ。
 例えばフランドールのように破壊に特化した者が、スターボウブレイクのような超破壊系スペルを使うのはとても理にかなっているといえるだろう。
 これならば破壊力もとてつもないし、稀に限界を超えての発動が可能となる場合がある。
 逆にフランドールが相手の傷を癒すようなスペルを使ったらどうだろう?
 そう、イメージ通り傷は少ししか治らないしエネルギーの消費もとても激しく割りに合わないので再発動は難しいだろう。
 戦闘においては最終的には力と力のぶつかり合いだ。だが、どのようにして自分の力を生かすかで結果は全然違ったものになる。
 それがスペルカードの面白いところであり、怖いところでもあった。
 これを理解していたこいしは自分の力の使い方を十分解っているといえるだろう。

 「(壊すことに関しては貴方のほうが上よフラン。でも、SATSUGAIする事に関しては私のほうが上ね♪)」

 再び、こいしは無意識で行動を始める。
 コキコキコキ・・・バキバキバキ。
 指の骨が、腕の骨が、脚の骨が軋めく。今は痛みを感じないが殴られたときに骨折した右腕がひどく腫れていた。受身を取っていなかったらこんなものでは
すまなかっただろう。

 「(あまり長くは持たないなぁ。鬼や吸血鬼みたいな強靭な身体ならもっと強いんだろうけどなァ)」

 本来、脳は脳の一部や肉体、魔力に負担がかからないように無意識のセーブをかけている。
 危機に陥ったとき、今まで考えもしなかったアイディアが思い浮かんだり、信じられないパワーを発揮したりすることがある。
 俗に火事場の馬鹿力というが、こいしはこの無意識のセーブを意識的にはずしたりかけなおしたりすることができた。
 これが、こいしがサトリ以上の戦闘能力を持つ妖怪を戦闘で上回ることができた理由(ワケ)だった。
 さらにスペルカード無意識の遺伝子でこいしは脳のセーブをはずし、尚且つさらに潜在能力を極限まで引き出すことを可能としていた。
 結果、パワーで劣るフランドール(吸血をしていないとはいえ)を戦闘で圧倒することができた。ただ身体への負担はそれに比例するように大きかったが。

 「アハハハハ、逃げてばかりじゃつまんないよ!!」

 流星はさらに激しさを増す。
 その激しさは時間が経つにつれ激しいものとなっていった。
 同時に七色の翼も大きさを増していき、地底の天井がだんだんとコピーフランの翼で覆われていっていた。
 どういうわけかコピーフランはこいしの気配を察知することができ、空中を飛び回りながらこいしの方向に向って弾幕を撃っている。弾幕の強大さから狙撃
できるようなタイプのスペルではないのだが、こいしにとってはそういう弾幕が逆に辛かった。
 こっちを確実に狙ってくるのであれば、直前で無意識の反応とスペルカード無意識の遺伝子により紙一重で確実に避けることが可能だ。だが、あのスペルは
そうではなく無差別に破壊する弾幕。無差別に来るそれに偶然当たってしまう危険性。流れ弾、それをこいしは嫌がっていた。
 気合避けの場面ではこいしの能力はあまり役に立たないからだ。

 「ちょっと、楽しくないなァ・・・!!」

 ガリガリと歯を軋ませ、眉がハの字になり目がつり上がる。
 距離をとられて近づこうにもあの弾幕の密度と破壊力だ。例えこいしのスピードと超反応でもこの密度を避けることは至難の業だった。
 コピーフランの一見無茶苦茶に見える戦い方はこいしにとってなかなか厳しかったのだ。回り込んでコピーフランの背後、つまりさらに上空から攻撃すれば
あの大きさだ、小回りはきかずに殺ることができるだろうと思ったが、それにはずいぶんな距離を回り込まなければならない。
 こいしにはそれができなかった。スーパーエゴがカバーしている他の者に気付かれない範囲を出てしまうことになるからだ。自身が効果範囲内にいること。
これがスーパーエゴの発動条件だった。

「・・・ふぅ」

 息を吐き出すとこいしは手に新たなスペルを発現させる。
 それならば――――見せてあげようか。
 帽子を左手で取ると、―――ため息雑じりに、こいしはそのスペルの名を呟いた。

 「――――――――――嫌われ者のフィロソフィ」

 Spell Card!!! 「嫌われ者のフィロソフィ」

 場の空気の変化にコピーフランは瞬時に理解する。
 これは避けなければ、あるいは防御しなければいけない。
 が・・・時すでに遅く、こいしの両目がコピーフランの姿をその瞳に収める。

 1、      2、      3

 脳が揺れる。吸血鬼に脳など無いのかもしれないが、とにかく考えることが一瞬できなくなっていた。
 コピーフランの方は実際には見ていないにも関わらず何故かこいしの目をみた感覚を得た。

 「・・・?」

 4、      5、      6

 すぐに思考を取り戻すが、次に瞳の奥の網膜に薔薇が映るイメージが来る。

 7、      8、      9

 警告している。これ以上は耐えれないと。
 それを理解した瞬間――

「え」

 ぷつりと思考が停止する。
 すると今まで威勢のよい言葉を吐いていた口から、毛穴1つ1つから血の色を連想させる真っ赤な薔薇一斉に咲き誇る。

 ―――――――――――――――10


 刹那、七色の翼は―――
                     ――橙みたいな赤、青、黄色の3色の色に包まれた。



※※※


 Spell Break!! 禁弾「スターボウブレイク」

 スペルカードが燃え尽き、空に咲いた薔薇・・・もといコピーフランが大地に落ちる。
 数十メートルにも広がった翼に所狭しと薔薇が咲き、本来の形が完全に見えなくなっていた。
 コピーフランの肉体には薔薇が根を張り血を、魔力を養分として吸い取り尽くした。搾りかすみたいに干乾びたコピーフランは大地に落ちる前に灰となって
空に舞った。

 「あれがこいしさまの本気・・・」

 遠くで眺めていたお燐はその力に得体の知れないものを感じていたが、同時にフランドールのコピーでこいしさまをあそこまで
 追い詰めることが出来たという、希望のようなものも抱いていた。
 それはお燐が「フランドール>コピーフラン」と勝手に思っていたからだ。
 実際はその逆。現時点ではフランドール本体よりコピーのほうが若干強かった。そのコピーが負けたということは。
 ――フランドールはそれを見て、今のままでは勝てないと思っていた。

※※※

 こいしの両目から数滴の涙が流れる。ただ、涙の色は無色透明ではなく赤であった。

 「・・・限界ね」

 発動していた無意識の遺伝子と嫌われ者のフィロソフィのスペルを解く。
 頭が白くぼんやりとした。自分の限界を超えた身体の酷使で意識が朦朧としていた。無意識の遺伝子で妖怪サトリが持つ本来の身体能力の数倍の力を引き出
せる代償は軽いものではなく、使う度に身体は蝕まれていた。
 それでも、こいしは殺すのを止めない。私達姉妹を悪く思うやつは全て例外なく殺すと決めたあの日から。

 「アハハ、強いなぁ。1人やられちゃったじゃん。いえ、前回あんたに殺されたのをいれると2人ね。
  これで私達(フォーオブアカインド)も残るは私1人」

 完全に再生したコピーフランがこいしの背後を取る。スペルを解いた瞬間、こいしに隙が出来たのをコピーフランに見切られていた。

 「(しまったなぁ・・・もう少し再生するスピードが遅いと思ってたんだけど)」

 レーヴァテインがこいしの首筋に当てられている。燃え上がる炎が髪をチリチリと焦げ付かせ、その煙が鼻につんと臭う。

 「楽しかったけどここまでね。じゃ、さよなら」

 殺されると分かっていたが、動けなかった。
 嫌われ者のフィロソフィを放った反動と無意識の遺伝子による負荷が身体にきており、動けるようになるまで僅かな時間・・・5秒必要だった。
 こいしのスペルの中でも最上級にあたるこの2枚とこの辺り一帯を見つからないようにしているスーパーエゴの3つのスペルを重複しての使用。これくらい
の反動は当然といえば当然だった。その上右手は無意識の遺伝子のスペルが解除されたことで再び痛みを発している。たった5秒。だが、5秒あれば何度この
身体を引き裂かれるか…何度壊されることか。
 今までなら反動で動けなくなっても、無意識の能力で自身を隠蔽していたから身に危険が及ぶことが無かった。だが・・・そう。今回は何故か見えているのだ。

 「ねえ貴方、私と友達になる気はない?」

 剣が首を貫く前に咄嗟に吐いたその言葉。その言葉がコピーフランの手を止めた。
 こいしの言葉は脳に響く。
 フランドールがそう感じたように分身も同じように何かを感じていた。

 「貴方は所詮本物のフランのレプリカなんでしょ?」
 「何を言ってるの? 私はフランドールの本能。本物もコピーも無いわ。」

 かかった。
 こいしは心の中でそう呟いた。
 以前戦ったフランドールの分身(フォーオブアカインド)は意思というものを持っていなかったが、こいつ等は持っていると戦いの最中に感じたから言えた
台詞だった。

 「そうかしら?」

 ここでこいしが言葉を返す共に自然を装い後ろを振り向く。丁度5秒が経過していた。
 レーヴァテインの剣先未だにこいしの首を狙っていることに変わりは無い。コピーフランのレーヴァテインに首を取られる前に倒すのはかなりの博打。良く
て相打ち。悪ければこちらが殺されるのが先だ。そんなことを頭の片隅で考えながら、こいしにはある違う考えが思い浮かんでいた。

 「・・・今のフランに貴方は満足しているの? 破壊もできず、吸血行為も行えず本来餌であるはずの人間やその他妖怪と仲良くしている。
  そんなフランに貴方は本能を満たせていると思っているの?
  よく考えてみて。ここで私を壊しても貴方はただ、フラン本体に戻って、また破壊と吸血の衝動を抑えられる。
  そしてそれを続けていれば、いずれ本体は朽ち果てるわ。今でもフランは吸血鬼とは思えないほど衰弱しているもの。
  近い未来、彼女は死ぬ。それは貴方だって気付いてるんでしょう?
  そのとき・・・貴方はどうなるの?ただただそれを指をくわえて見ているしかない。」
 「何が言いたいの・・・?」

 目角を立てて尋ねるコピーフランにこいしは柔らかに答えた。

 「今、この時が貴方にとって最後のチャンスなのよ。
  フラン本体と違う意思を持って生まれた本能だけの貴方。私は貴方をコピーだとは思えないわ。
  このままコピーとして消えてしまうのはもったいないわ・・・。そう思わない?」

 剣が止まったことでペースは完全にこいしが握っていた。
 それにこの話はコピーであるフランドールにはとても興味が沸く話だった。

 「ハッ、なかなか面白い話ね。でも残念ね。本体は私達本能が無くなればその存在が無くなり死んでしまう。
  逆もまたあって、本体が死ねば私達本能も消えてしまう。
  つまり私達はお互いの命を共有しているの。どちらかが勝手なことをするなんてできないのよ。」
 「でも今のフランは、貴方達を抑え込んでいる。ということはこれは命を共有しているのにも関わらず貴方達は対等の条件ではないということになるわよね。
  だから貴方達はそれに耐え切れず・・・勝手に本体から飛び出してきた。違う?」
 「・・・・・・む」
 「・・・・・・ねぇ。教えて? フランの意思と貴方達の意思は別にあるわ。
  貴方達はどう思っているの?
  もしかしたら・・・今貴方達が本当に壊したいものは。
  ―――――フランドール・スカーレット本体じゃないのかな?」

 レーヴァテインが燃え上がり火の粉が空中に散布する。

 「ククク・・・アハハハハハハ!!!」

 揺らぐ炎の先で笑い狂う悪魔の妹の姿は言った。

 「そうよ、壊してやりたいわ!!あの偽善を知ったフランドールを!!!
  ・・・でもあんたに何ができる?!
  そこまで聞いてきたってことは、何か手段っていうものが当然あるんでしょ?!」

 手応えがあった。確信したこいしは心の奥底で凶悪な笑顔を作る。決して表面には出さず、心の奥底で・・・にんまりと。
 炎の熱で乾燥した唇を動かしながらこいしは回答した。
 それは悪魔と悪魔の対話だった。

 「フラン本体を貴方が壊すこと・・・いえ、取り込む事で貴方達の意識は1つとなる。
  そう・・・今こそ、貴方の完全なイド(本能)を開放するのよ。
  それを支配することでイド(本能)は完全に開放されるわ!!
  手助けは・・・私がしてあげる。無意識をコントロールできる私ならそれが可能だわ」

 轟轟と燃え上がっていたレーヴァテインの火が消える。
 剣は1枚のカードとなってコピーフランの右手に戻っていった。もちろん彼女はこいしの言う事など信用していない。・・・しかしもし本当にできるのならば
彼女の願いが叶えられる。 嘘なら後でこいしを殺せばいい。本当なら・・・願いが叶った後に殺せばいい。
 どちらにしても短い間の付き合いになるが、ここはこいしの妄言に1つ乗っても楽しそうだと思いコピーフランはスペルを解除した。それはこいしにとって
も同じ。彼女の狙いはただただ壊す事だけしかできない分身ではない。
 妖怪ポリグラフで見た矛盾に悩むフランドール・・・今は彼女に興味があった。



furan3.jpg



 「フフフ・・・
  私とあんたは・・・いい友達になれるかしら?」

 笑いながらこいしに近づき顔を凝視する。
 満面の笑みでこいしは手に持っていた帽子をかぶり直しそれに答えた。

 「とても、いい友達になれそうだわ」

 両者の表の思惑は一致し、契約が交わされた瞬間だった。


※※※


 太陽の無い地底で砂埃が舞う。
 地底にはあまり風が吹かないから一度砂埃が立つとなかなか収まるのに時間がかかるのだ。とても視界が悪い砂埃の中をフランドールは飛行していた。
 あまり高いところを飛び回ると狙い撃ちにされるので低飛行で地面3~4メートルで跳んでいた。
 そろそろ先程戦闘があった場所辺りに着く。

 「(なんだか・・・やけに静かね)」

 弾幕の音もしない。声もしない。
 フォーオブアカインドの暴走で飛び出した2人の内1人はさっきのこいしの攻撃で死んだ。残りもう1人の分身が残っているはずだけど

 「・・・おかしいわ」

 分身の気配は自分自身の気配でもあるからとても見つけやすいのに、何故かその気配も見つけることもできなかった。
 でも消えたわけじゃない・・・。なんだろう・・・?
 見られている感覚・・・これは

 「(気配を隠して・・・潜んでいる?)」

 ああそうか、分身が何故気配を消してこいしと戦っているのか・・・そう思ったときだった。
 すぐ前方に周囲の砂埃を押し避けて数メートルの炎の柱が立ち上がった。その炎の柱をフランドールはよく知っていた。

 Spell Card!!! 禁忌「レーヴァテイン」

 「レーヴァテイン!!?」

 驚いた声でフランドールが叫ぶ。ただ、驚いたのはその事ではない。
 そのレーヴァテインが自分の方向目掛けて振り下ろされていることにフランドールは驚いていた。

 「ぐっ」

 とっさに横に飛び出し、レーヴァテインの炎を避ける。
 妖怪サトリには相手の心のトラウマを見つけそれをスペルとして再現する能力がある。それを利用したのかと思ったが、こいしにはそれができない。
 ・・・ということは。

 「アハハハハハハハハ!!」

 予想通り剣の元には分身の姿があった。

 「おい、何してんのよ!!」
 「アハハハハハハハハハ!!! あんたが全部悪いのさぁ!!」

 喋っている間にもレーヴァテインを振り回すのを止めない。
 フランドールを狙ったレーヴァテインは大地を叩き、そのままフランドールを追いかけるようにして振り回される。

 「(どうなってるの?!)」

 分身が何故自分に刃を向けているのか分からなく動揺していたが、フォーオブアカインドの暴走でそうなってしまったのだろうと考えるとレーヴァテインのス
ペルを取り出した。
 所詮分身のレーヴァテインの射程距離などたかだか痴れている。こちらのレーヴァテインの射程距離なら分身のよりも長く、他のスペルを使うより簡単に倒
せると判断したのだ。
 再び分身はフランドールを叩き潰すように上空からレーヴァテインを振り下ろす。勢いついたレーヴァテインを少しかするが避けることに成功したフランド
ールはスペルを宣言する。

 「スペルカード・・・」

 避けられたレーヴァテインで再び大地を叩くと今までのよりいっそうひどい砂埃が舞った。
 コピーフランはそれで目的達成とばかりにレーヴァテインを解除する。
 そして上空に一気に飛び上がった。

 「んっ?!」

 突然攻撃をやめた理由も逃げるように飛び上がった理由も分からなかった。
 が、すぐにそれは明らかになった。

 「ねー、フランドール~・・・粉塵爆発って知ってる~?
  昔、パチェに教わらなかった~?アハハ」

 フランドールが宣言したレーヴァテインはもう発動を取り消せない。
 それを見越しての煽りの発言だった。

 「いいいっ!!?」

 Spell Card!!! 禁忌「レーヴァテイン」

 止まらず発動したレーヴァテインと共に回りは爆発に包まれた。
 強烈な爆発音が耳を劈く。

 「アハハハハ!!」

 それすら意に介さず上空で楽しそうに無邪気に笑う。
 地底の土には鉱物類も多く含まれている為爆発を引き起こしやすいことを知っていた。これはもちろんこいしの入れ知恵だ。

 「ゴホゴホッ」

 それほど効いていないのか咳き込みをしながらフランドールが爆炎の中から飛び出てくる。

 「分身の癖にやるじゃない・・・ちょっと遊んであげるわ」

 もはやフランドールの意識は完全にコピーフランに向けられていた。
 まさかこいしと分身が共同戦線を張っているとはそんなことをフランドールが知る由も無い。
 だから―――

 「やぁ、久しぶり」

 だから、突然何も無い場所で腕を掴まれたときにとっさに判断ができなかった。
 いつのまに。
 ・・・いや、違った。
 ――――――彼女はそこに最初からいた。
 こいしの姿がフランドールに映ったときにはすでに遅く、左腕で掴まれた場所から一瞬でこいしの魔力が体の中に注入される。
 注射針なんてものじゃない、まるでポンプみたいなもので一気にどくどくと流される。
 動けない。コンクリートで固められたわけでもないのにフランドールは硬直する。こいしの魔力が体中を支配してフランドールの命令を受け付けなかった。
 そこに――――こいしの一撃必殺のスペルが加えられた。

 「――――――燃え上がれ、恋の埋火」

 Spell Card!!! 復燃「恋の埋火」

 合図で流れていた魔力が燃え上がる。
 ガソリンを無理矢理飲まされマッチの火を口から入れられたらきっとこんな感じになるのだろうか?
 こいしの魔力がフランドールの体内を行き交うと体内の血液が燃え、身体の内部のあちこちで小爆発が起きる。自分の恋(魔力)を相手に埋めて燃やす。
 まさに名前の通りのスペルだった。

 「(あ・・・れ・・・・・・血が・・・血が、止まらない・・・)」

 フランドールの身体のあらゆる場所から血が噴出する。崩壊したダムのように。

 「・・・っ」

 こいしがフランドールから手を離す。その左の掌は黒く焦げついており、指先を動かすのがやっとだった。
 自分の魔力をダイレクトに相手の体内もしくは物体の中に送るこのスペルは禁忌中の禁忌であって、その反動もすさまじかった。


 「でも・・・これで私の勝ちね。ウフフ・・・」

 血は身体中から溢れ出し、吸血鬼自慢の再生力も全く働かなかった。
 暫く棒立ちになっていたフランドールだったが、血が地面に流れ出しそれが池ほどに溜まると、その血の池に頭から無防備に倒れ伏した。





続く。



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