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人生を全て捨て効果発動☆
19話あげました。これで次回からようやくこいし戦です。
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フランドール・スカーレットVS古明地こいし 9 閉じた恋の瞳 ②
閉じた恋の瞳 ②

仕掛けられた爆弾(ポリグラフ)は右肩と左足の2箇所。
2つの爆弾はこいしが言ったように物理的なものではなく精神的な、あるいは霊的な物か。

「(まいったわね・・・この物体には本当に破壊の目が無い)」

こいしを視つめる。
あいつからも破壊の目を見つけることができない。
おそらく、私の能力を知っているあいつは『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を無効化させるためにその対象をずらしているのか・・・。
破壊の目を掌まで持ってきてそれを握りつぶすことで全てを壊す能力。
一度発動すれば絶対不可避の最凶の破壊能力。しかし、その目を認識できなければそもそもの発動ができない。

「(そう易々とは・・・使わせてくれないってワケね)」

フランドールの『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』に対して、こいしが持つ能力は『無意識を操る程度の能力』。
これまでの戦いでも見せた、気配を消すことができる――また時には他人の認識をずらしたりする能力だ。
それは妖怪サトリが持つ本来の能力ではない、後天的に得た類い稀な能力。
どうやって手に入れたのかはわからないが、認識をずらすそれはフランドールの持つ能力とは水と油のように相性が悪かった。

「・・・で」

近づいてくるこいしにフランドールは距離をとるように後ろに下がる。

「聞きたいことってなによ?」
「そんなに怖がる事は無いわ。フラン」
「気安く私の名前を呼ぶんじゃないわよ」
「まぁまぁ・・・ようやくこうして落ち着いて話すことができるんだから」

確かにこうやって弾幕抜きで話すのは初めてだった。
最初に挨拶してきたこいつに私は危険を感じそして誰もいなくなるか?を撃ち込んだのだから。
その後は話し合い一切なしの弾幕勝負。こいつからは矢張り不気味な感じしかしない。

「私はね、貴方とお友達になりたくて貴方に会いに来たのよ♪」

にっこりと無邪気にこいしが笑う。さっきまでの悪意も殺気も拭い去って。
一瞬呆けてしまった
私は―――こいしの顔を見て鏡を覗き込んだような錯覚に落ちていた。
こいつの笑顔は確かに本物だ。かつて、私のしていた笑顔をこの古明地こいしはしていたのだ。

「巫山戯るな」

これがこいしの本当の笑顔であるのならこいつの本質は多分・・・。

「―――まぁ仕方ないわね。
 では、早速質問その1。
 ―――私が聞いたフランドール・スカーレットは戦闘狂いの破壊者だと聞いたけど、貴方がそうなの?」

なに?
こんな簡単な質問?と考えるが別に考えて答える質問でもないので即答した。

「答えはYESよ」

仕掛けられた嘘発見器に反応は無い。
ふぅ、と息を吐く。
こういう時は分かりきった答えでも少し、心臓に悪い。
最も吸血鬼の心臓はそれほど柔ではないが。

「ポリグラフに反応なし――そう、やっぱり貴方がフランドール・スカーレットなのね」

こいつは一体何を言っているんだろう。
フランドールは疑問に思った。

「そうかぁ・・・噂と全然違うなぁ・・・」
「ハッ、地底にはそんな噂が流れてたんだ?
 ・・・確かに少し前までは私は戦闘狂いの馬鹿だったわよ」
「少し前まで・・・?・・・へぇ?最近なにか心境の変化でもあったのかしら」
「あんたに話す道理はない!
 スペルカー―――・・・」

スペルを発動しようと掲げた腕が止まる。

「(やはり、あいつが言ったとおりスペルカードの発動はできないか。
  この妖怪ポリグラフとかいうスペルカード、発動条件が相当厳しいみたいだけどそれだけの事はあるわね)」

「試してみたの?無駄なのに・・・ふふっ」
「・・・クソが」
「私はね、フラン」

一息置き、場がしんと静まり返る。

「貴方とお友達になれると思うの」

閉じた第三の瞳の瞼が少しゆるくなるのをフランドールは感じた。
一瞬、さとりの声が脳裏に響く。ここに来るまでに地霊殿でさとりに聞かされたエピソード。
こいしは喋り続ける。

「どんなに心変わりしたって駄目。
 壊して壊して殺して殺して…そうすることで自分を見出すことができる!
 フラン、貴方は吸血鬼なんですもの。皆から忌み嫌われた化け物よ!!
 私は、そんな貴方とお友達になれると思うわ。
 何故なら、私達も化け物と呼ばれ地底に封印されてた忌み嫌われた妖怪だから!」
「……私はもう壊すことを止めた。
 もう何も壊さなくてもいい。
 今の私は貴方と違って自分をしっかりと見据えているわ」

私にそれを教えてくれたのは多くの人達。
紅魔館の外に出て初めて分かった。
霊夢、魔理沙、妹紅、里の人々…そしてお姉さまも。
皆のおかげで壊すことを止められた。

「本当にそうかしら?」

フランドールの返答を聞いてもこいしはニタニタとした不気味な笑いを止めない。
そのまま顔を近づけ、彼女はフランドールの耳元で囁いた。

「そんな化けの皮はすぐに剥がれるわ。
 ふふふ、では質問2つ目」

息を耳に吹きかけるように言葉を発する。

「本当は壊したいんでしょ?全てを」

――――――ドクン
心臓が高鳴る。
気のせいじゃない。
こいしの笑いに共鳴するかのようにフランドールの中で何かが笑っていた。
――――――ドクン、ドクン
「(壊したい!!!壊したい!!!壊したい!!!)」
心の奥で何かが叫んでいる。
落ち着け。
―――――それは気のせいだ。
こいしの言葉は何故か無い脳に響く。心に響く。
言葉が無意識に脳に語りかけているのかどうかは分からないけれど、やたら言葉が響くのだ。
けどそれは違う。
言ってやればいい。
もう壊さないと。

「私はもう何も壊さない――!答えはNOよ!」

左足に着いた妖怪ポリグラフの目がその心を確認しようと見開く。
本当か、嘘か。
そしてその結果はすぐにメーターに表れた。

「あはははははははははははっ!!!」

こいしがまた嗤い出す。
『嘘』だと。嘲笑うかのように妖怪ポリグラフのメーターが反応していた。
どうして。
どうして反応するんだという思いと、反応して当然かという思いがフランドールの内で渦巻いていた。

「この結果は嘘だって言いたげな表情ね?
 でもそれはフランがいっちばーん解っている事じゃないのかしら?」
「……」
「安心したよ。
 ちゃんとフランの中には凶暴なフランがいるって事が分かったから」

こいしの血で染まった手がフランドールの顔に触れる。

「最後の質問よ。
 貴方は誰かを愛したことがあるかしら?」
「えっ…?」

最後の質問は誰かを愛したことがあるかという質問。
495年生きてきたが・・・その間、愛したことがある者など・・・

「私は愛しているわ、大好きな大好きなお姉ちゃん。お姉ちゃんを害なす存在は私が許さない…!
 確か、貴方にも居たはずよね?お姉ちゃんが」

レミリア・スカーレット。
495年前、この世に生を受けたときに私を…牢屋にぶち込んだ張本人。

「あれれ、ありとあらゆるものを破壊し尽くすフランが誰かを愛するなんてことを知っているのかしら?答えはNOよね?」

だけどあれから時は流れ、姉だけでなく皆とも仲良くなった。

「答えは」

でも、心から愛したことは――

「YESよ!!」

――無い…。

「本当に嘘吐きね、フランは。」

そう言うとこいしの手はフランドールの頬から離れ、こいしは大きく後ろに跳んだ。
妖怪ポリグラフのメーターが振れる。すると2つの妖怪ポリグラフの瞳が閉じ、血の涙を流した。
それはスペルブレイクの知らせだった。
爆発する!
フランドールもすぐにその変化に気付いた。
だが、気付いたとしてもどうすることもできない。

Spell Break!! 反応「妖怪ポリグラフ」

「―――!!!」

スペルブレイクと同時に起きたポリグラフの爆発にフランドールは逃れること叶わずに包まれた。

「フランドールのお姉さん!!」

お燐が叫ぶがその声は爆発の音に消される。

「本来の威力の3分の2の爆発よ。勿論この程度でくたばるフランじゃないよね?」

しばらく、爆発地点を中心に炎と煙に包まれ視界が悪くなっていた。
その中で、逃げも隠れもできずスペルの炎に包まれていた。
煙で息もできず、炎で身体を焼かれる。本来の吸血鬼ならばこの程度の事はそれほど問題ないのだが
今のフランドールの身体にこの攻撃は効いていた。肉体的にも、精神的にも。
妖怪は肉体より精神的な攻撃が苦手というがその通りだった。
こいしが問うた質問に本心で答えたのに嘘だと返され、尚且つそれが真実であることに

「(嘘吐きか・・・。だとすると私の本心は一体何処にあるんだろう)」

フランドールは意気消沈していた。


※※※


「あらら、本当に死んじゃったかな?」

この程度で本当に死ぬわけが無いと思っていたが、興味心から近寄って確認することにした。
死んでいないのならば、近づけばピンポイントで狙ってくる攻撃よりどこに居ても当たるような範囲の大きい攻撃をしてくると考え
不意打ちを喰らっても大丈夫なように〝無意識状態に意識を張り巡らせ〟自分の周りに魔力のバリアを張りながら動く。
こいしはスペルを使用しない無意識下での防御力は高くない事を十分に理解していた。
近距離での肉弾戦、弾幕の弾を避けることや相手にサーチされない事を利点とする戦いなら無意識にまかせたほうが避けやすいし
相手にも読まれにくいが、この状況のように大きな爆弾が爆発するということが分かっていて、さらにそれを防ぐこと前提ならば
無意識に防ぐよりは素で防いだほうが確実に防御できる。
一方フランドールは破裂した右肩と左足の修復はほぼ終わっていたが、それに使用した魔力の消費が激しく

「(ハァハァ・・・まずいなぁ・・・)」

ポリグラフの爆発によるダメージはこいしが考えている以上に大きかった。
それに伴いフランドールにある衝動が襲い掛かっていた。

「(血、血が欲しい・・・!)」

1つは吸血の衝動。
半年程まったく摂取しなかった吸血鬼にとっての食事だ。

「(アハハハハハハ!!ねぇいつまで我慢するつもり!?)」

もう1つは破壊の衝動。
これはフランドールがフランドールとして存在する意味でもある。

「(あんた達は黙ってて!!)」

フランドール自身の『本能』。
破壊と吸血を封印し、他の人間や妖怪達と友達になりたいと願ったあの日からずっと抑制していた悪魔の妹としての本能。
いつまでも抑制できるわけがないと彼女も分かっていたが、ここ最近の魔力の消耗とこいしとの戦いでそれがついに限界に来ていた。
そう、本体が全くしない破壊と吸血を脳が身体の危機と捉えて彼女の意思とは別に蠢きだしていた。

「(そういうワケにもいかないよ!アハハハ!)」
「(血よ、人間でも妖怪でも構わない!ククク!)」

それは追い払おうとしても追い払えるものではなく、破壊の衝動と吸血の衝動を持ったフランドール達は
フランドール本来の本能のままに動く。

「(アハハハ!スペルカード、フォーオオオォオブアカインドォォ!!)」

Spell Card!!! 禁忌「フォーオブアカインド」

「勝手なことを・・・!」



furakoi4



スペルカードの発動と共に彼女達はこの世界に受肉する。
前回のこいしとの戦いで1体分の損失を負っていた為か、表れたコピーは2体だった。

「こんにちわ、オリジナル。ククク、あとは私達に全て任せておけばいいわ」
「アハハハハハハ!!」

2人のフランドールのコピー達はこいしという餌を見つけ、土煙の中を飛んでいった。
そして、こいしも彼女達の気配に気付きバリアを解く。

「(2人、こっちに来る)
 ・・・意外だわ、接近戦でまだやるつもり?」

意識を無意識に変え、他人に意識できないようにして再びこいしは擬似ステルス化する。
何処かの妖精みたいに光を屈折させて消えるのではなく、相手の意識外に跳ぶことで相手から見えなくする力。
それを使い彼女達の前から消えた。だが、彼女達は迷うことなくこいしの目の前に立つ。

Spell Card!!! 禁忌「レーヴァテイン」

2つの火の剣が燃え盛るが、まだ攻撃する様子はない。

「(こいつ等には見えていない。後ろに回り込んで首を刎ねる)」

無駄な動き一つ無く、無音でこいしは片方のコピーフランの後ろに回りこむ。
そして、右手の手刀で頸を一閃。
一閃する手を

「アハハハハ、見ィーつけた!!」

コピーフランは左手でしっかりと掴み取った。

「見えてる!?」

すぐにもう片方のコピーフランが動き、レーヴァテインを構える。

「アハハッ、見えてるよ!!」

掴んだほうのコピーフランもレーヴァテインで斬りかかる。
掴まれた手を振りほどこうにもコピーフランの握力は半端なくそれは不可能に近い為、こいしは左手の手刀でコピーフランの左腕を切り裂いた。
コピーフランはそれを苦痛に思うことも無くそのままレーヴァテインをこいしの頭に叩きつけるようにして斬った。
地面が粉砕し、炎が立ち上る。
こいしは一瞬早くコピーフランの懐に入り、開いた右側から抜けてすれ違いざま風を切るように右手で彼女の首を刎ねた。
びしゃっ、という血飛沫と、こいしの右手を掴んでいたコピーフランの左腕が飛ぶ。

「見えたくらいで舐めるな」

もう1体のコピーフランのレーヴァテインがこいしを捉える。

「(しかし、やっぱりこいつ等・・・私が見えてる)」
「壊れろおおおおおおおおお!!」

右から来た一振りを上に跳んで避け、そのままコピーフランの頭上を飛び越して背後に着地する。
そのタイミングを逃さずにコピーフランも一振り目の勢いを利用し回転しての一撃を加える。
間合いは十分。
だがこいしは無意識による超反応でその横になぎ払われた一撃を転ぶことによって避ける。

「やるじゃん」

コピーフランは戦闘を楽しんでいた。
いや、戦闘というよりは破壊活動をか。しかし破壊するだけではこいしには勝てない。
スペックは彼女達のほうが高いが彼女達には実戦がほとんど無いのだ。
彼女はフランドールのコピーだが、本体が得た経験までは持ち合わせていない。
あるのは破壊と吸血の衝動。それしか持たない彼女達はやはりフランドールの劣化版なのかもしれない。

「遅いね」

こいしから放たれた1枚のスペルカードは弾幕となりコピーフランを囲みコピーフランからに天と地を奪う。
弾幕は厚い壁となり脱出不可能の丸い檻となると、こいしはスペルの名を宣言する。

「死ね、弾幕パラノイア」

Spell Card!!! 表象「弾幕パラノイア」

「グギャアアアアアアぁ!!!!!!」

中で悲鳴と、それに混じって肉と骨を裂く音が聞こえる。
こいしの作った檻は中でミキサーとなりコピーフランの身体を砕く。

「・・・ ・・・ ・・・」

時間にして10秒ほどミキサーを回すと音が聞こえなくなり、こいしはスペルを解いた。
中から紅色のジュースが地面に流れ出し、地を血で染めた。

「アハハハハハ!!」

笑ったのはこいしではなく先程首を刎ね飛ばした方のコピーフランだった。
首、腕から蝙蝠が湧き、この短時間で繋がりつつあった。

「アハハハハハ、残念!!」
「これが吸血鬼の・・・再生力・・・」

血で染まっていた大地も鼓動をはじめ、もう片方のコピーフランも再生しようとしていた。

「もっと楽しませてよぉ!! ハアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「?!!」

コピーフランの七色の翼が膨張し、普段の5倍くらいの大きさに膨れ上がる。
地底では決して見ることのない空から流れ落ちるような弾幕。
彼女達は地底には無い空を作り出すスペルを発動した。

「スターボウブレイク!!!!」

Spell Card!!! 禁弾「スターボウブレイク」

胴体と繋がった首をコキコキと鳴らしながらコピーフランは言う。

「この陰湿な地底の世界に星の輝きを与えてあげる!!」

地底の天井を壊し、空を壊し星を流すスペル。それがスターボウブレイクだった。
七色の羽に集まった魔力は胎動し、今にも流れ出そうとしていた。流星のように。

「・・・くくく、あはははァ!」

帽子をかぶり直し、急に高笑いを始めるこいし。
その様子を当然コピーフラン達は奇妙に思った。

「何が可笑しい?」
「アハハハ、こいつも気が狂ってるんだよ!!」

こいしの笑いは止まらない。
何故ならこれこそこいしがフランドールに期待していた真の破壊だからだ。

「やっぱり私達友達になれるわああああああぁぁぁ!!」
「気持ち悪いんだよおおおお!!!」

血のジュースから再生したコピーフランがこいしに殴りかかった。
感情が高まったこいしは避けずに右腕で受け止める。その右腕の防御の上からゼロ距離でコピーフランは大量の弾幕を解き放った。
バキバキ、という音とともにこいしは数十メートル吹き飛ばされた。

「きゃはははは!!ぎゃはははは!!」

こいしの右腕は今の攻撃で折れていたがその痛みをまるで感じさせないような笑いを見せ、すぐに立ち上がった。
そして1枚のスペルカードを取り出すと宣言した。

「スペルカード、無意識の遺伝子・・・」

Spell Card!!! 深層「無意識の遺伝子」

スペルが発動するとこいし意識を失ったかのように両手をぶらりと下げ、ゆらゆらと身体を揺らした。
体の中では血液の循環するスピードが早くなり、こいしの中の無意識の遺伝子が覚醒する。
目が虚ろになっていたが、瞳には追撃をかけるコピーフランという獲物がしっかりと映っていた。
ゆらりゆらりとすすきのように構え、コピーフランが射程圏内に入るのを待っていた。
何も考えずに瞳に映ったものを狩る。無意識に狩る。無意識を操れる彼女だったからこそ無意識に任せることもできた。
そこへコピーフランはいままでのこいしと思い、弾幕を撃ち込む。

「ハハハ、壊れろおおおおおおおぉ!!」
「・・・」

至近距離で撃たれたコピーフランの弾幕をこいしは全て紙一重で躱すとすぐさま攻撃に転じた。
先ず、速さがこれまでとは比べ物にならなかった。
すれ違いざまの一瞬の攻防でコピーフランは右腕、右脚、右羽を刎ね飛ばされた。

「ギャアアアアア!!」

こいしの攻撃は止まらない。右の肢体を失って体勢を崩し地面に落ちる前に次は左側の羽、腕、脚を刎ね飛ばす。
四肢を失ったコピーフランは一瞬の事にとまどった顔をしながら地面に落ち、ダルマになった彼女の頭をこいしは容赦なく踏み潰した。
しかしすぐに刎ね飛ばした手足から蝙蝠が湧く。
おそらく何度斬り飛ばしても焼き尽くしても再生はするだろう。多少は遅くなっているようではあるが。
とりあえず次は、スターボウブレイクを発動したコピーフランの番だ。

「面白いね、アハハハハハハハハ!!」

拡大した羽で空を飛び、空から流星じみた光の弾幕を落とす。
その弾幕1つ1つが白黒の使う魔砲並みの威力だ。地上に隠れる場所は無い。
近くに旧都があろう破壊しか考えていないコピーフランにそんなものは関係ない。
収まらない破壊の砲撃に地上は抉れとられた。

「アハハハハハハハハハハハハハハァ!!」


※※※


コピー達とこいしが戦闘を繰り広げている間、フランドールは回復に専念していた。
今、破壊と吸血の衝動が外に出ている間はそれを抑制する為に余計な魔力を使わなくていいという事でもある。
その魔力はわずかではあるが、それでも十分に回復には役立った。

「・・・」

さとりは私にお願いした。
こいしを助けてやってほしいと。
さとりの力では無意識の中に埋もれてしまったこいしの本当の意識を取り戻すことは不可能だったという。
しかし本当に不可能だったのだろうか?途中で諦めてしまったのでは・・・ないだろうか?
フランドールはそう思ったが口には出さなかった。
どうせ読まれているのだ。出す必要なんてない。

「安請け合いしちゃったかなぁ・・・」
「そんなこと無い!」

思わず口に出した言葉を返され、フランドールはその声の主の顔を見た。
赤いおさげに猫耳。

「こいしの・・・使い魔・・・。・・・お燐とかいったわね」
「違うわ。あたいはさとり様のペットよ」
「・・・そう。で、何?私を殺しにきたの?」
「違うよ。お姉さんを助けに来たの。
 お姉さん、さとり様からこいし様の事を頼まれたんでしょ?」
「ええ、安請け合いしたと今後悔してたとこよ」

お燐は考える。
さとりさまがこいつ・・・もといフランドールに頼んだということは・・・そう、私もフランドールに手を貸さなければならない。
まぁ、そういう事でなくてもさっき助けてもらった借りもあるし、手助けはしないといけないかしらと。

「さっきはありがとうね!フランドールのお姉さん!」

急に調子よく振舞うお燐だったがフランドールは特に気にした様子はなかった。

「ペットを簡単に、しかも姉のお気に入りの者を殺すっていうのが気に入らなかったのよ」
「にゃ?」

フランドールにはこいしがしようとしていた事と同じようなことがあった。
ずっと昔、姉のレミリアのお気に入りのぺットがうらやましくて壊してしまったことがあったのだ。
思えばそれがレミリアの逆鱗に触れたのだろう。
長い間閉じ込められることになってしまったなぁと、思い返すのだった。
それは今でも反省している。
他人が大切にしているものを奪うことはやっぱり許されない。
力がある者こそ、それを心に刻まなければならないとレミリアに、魔理沙に、霊夢に、妹紅に
これまで出会った人達から教わったのだから。
それを簡単に犯そうとしたこいしにイラついたのはやはりそれが理由なのだろう。

「もしかしたら貴方のご主人の妹、殺しちゃうかもしれないけど・・・かまわないわよね?」
「・・・・・・・・・
 はは、きっとさとり様・・・泣くだろうなぁ・・・。
 ・・・・・・
 ・・・でも・・・無いかな?
 皆が助かる方法ってさ・・・」

2本のしっぱが下を向いてお燐の表情に陰りがみえる。

「悪いけど・・・そういうのは得意じゃないのよ。正義のヒーロー役は紅白や白黒に頼むことね」

フランドールは争うコピーとこいしを見つめる。

「もし、心からそう願うなら・・・貴方は貴方にできることをするしかないんじゃない?
 ・・・よく分かんないけど」

その言葉はお燐に言ったのか、はたまた自分自身に言ったのかフランドール自身も分かっていなかった。
自問自答を繰り返すが答えを出せないまま、フランドールは再び弾幕が交差する中を飛ぶ。
考えれば考えるほど無い脳と心臓が痛む。

――――495年生きた吸血鬼フランドール・スカーレットの死期は確実に近づいていた。



続く。
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